TAMAKI YOSHIDA

0109

葬斂

Category
Art Work
Year
2023
Development
Exhibition

2022年初夏、その熊は設置された捕獲用の檻に入り駆除され、一部の部位以外の残滓はゴミとして、破棄された。
その一報が届いた時、どうにもできない感情が一気に駆け巡った感覚は今でも残っている。

古くから熊と生きる地域には、様々な形で熊を弔い讃える儀式が存在し、この熊が生きた地域でも、仕留めた熊の頭骨を並べ弔う儀式が行われていた遺跡が残っている。
あるきっかけから調査を始めたこの1頭の熊にわたしは没頭し夢中になった。
そして、いつしか、人間とその熊との中立な立ち位置を保つことが難しくなっていった。

人間と生き物の関係を語る際、出来ればどちらの側にも立たない様にしたいと常に意識している。

しかし、その思いと裏腹に、これほど強い思い入れを抱き、その死に悲しみを感じたこの熊と、人の世の流れに飲み込まれ消えていった多くの熊が、このままゴミとして人々の意識と記憶から消え去らない様に、私なりの弔いで送りたいと思う。